この文章は、新入生用の自主制作ガイドとして会報に載せられたものです。(一部手直ししてあります)
99年冬の研連上映会で流された『高速増殖炉ボ悶呪』を例にとり、自主制作アニメの作り方を説明します。
シナリオはアイデアを皆で出し合って、もしくはアイデアを一人で絞り出して、そのアイデアをもとに書き上げます。
思いつきがそのままシナリオになることもあります。
アイデアを出すのは複数でもシナリオを書くのは一人です。
そして、その次にキャラクターや小物の設定を作ります。
アニメの制作は複数の人間が長期間にわたって行うため、シナリオ・設定をしっかり作る必要があります。
考えたシナリオに沿って絵コンテを切ります。
SSAで使用している絵コンテ用紙は二種類ありますが、いずれもカットの大まかな絵・それに関する指示(動画の動かし方やカメラワークなど)・音響関係や台詞・カットのコマ数(尺数といいます)の欄があります。
絵コンテは以降の作業の土台となりますので、詳細かつわかりやすく書かなければなりません。
絵コンテに基づいて、各カットの原画を各人に発注します。(より本格的な作品では、ここでレイアウトを起こすこともあります。)
普通のアニメでは、動きのキーとなる原画(例:バットの振り始めと振り終わり)を先に描き、後から動画でつないでいく方式をとっています。
原画を複数人に発注した場合、当然絵柄・技術力に差が出てくるので、それらを統一するために作画監督をつけることもあります。
また背景を別に発注することもあります。
日本のアニメの動画は、上述したように原画と原画の間をつなぐ作業です。これを中割と呼びます。
たとえば人が走る絵の場合、片足が着地したところを原画として、その間を二〜三枚の動画で中割りし、合計四〜五枚で一歩の走りを表現します。
かなりの数の絵を描かなければならないので、商業アニメではスタジオ単位で発注したりしますが、自主制作の場合、分業化するほど人手が多いわけではないのでたいてい原画も動画も同一人物が担当します。
また、彩色する場合は色の境目となる線を硬質の色鉛筆で描きます。
要するに彩色作業です。いわゆるセルアニメでは、カーボンを使って紙に描かれた線画をセルにトレースし、裏から専用の塗料を塗ったり、表からエアブラシを吹き付けたりします。
これに対し、現在完全に主流となり、研連でもほとんど(全て?)が採用しているデジタルアニメの場合、線画をスキャナでパソコンに取り込み、専用ソフトを使って彩色していきます。
仕上げが終わった絵を絵コンテに基づいてまとめていきます。
フィルム撮影の場合、フィルムそのものを専用の器具を使って地道に切り貼りし、デジタルの場合は、取り込んだ絵のデータ(たいていビットマップ方式)を編集ソフト(Anime Studio II)を使って切り貼りします。
事前に取り込んでおいたBGMやS.E.(サウンドエフェクト)場合によってはアフレコした台詞も一緒に加えていきます。
さらにパン・ズームなどのカメラワークや、透過光・オーヴァーラップといった特殊処理もこのソフトで行います。
フィルムの場合、ここで音を入れ、上映用の別フィルムにプリントして完成です。
デジタルの場合は編集を終えたファイルをavi形式にコンパイルし、それをビデオテープに落として完成となります。
以上が自主制作の流れです。
自主制作は今回もギリギリのスケジュールで行われました。
我々はこれでいいのか、いやいいはずがない。
ということで自主制作班はスケジュール管理の徹底を図り(昨年も同じことが書いてありました)
そのための具体的な作戦を企画・実行していきます。